『親が亡くなったときよりも3倍泣いた』
『じいちゃんのときよりペットが亡くなったときのほうが悲しかった。』
ペットの葬儀を長年行なっていると、葬儀が終わった後にそう言った話をご家族様から伺うことがあります。
もちろん、親が亡くなってとても悲しむ人はたくさんいますし、そんなの比べられないというのが多くの方の意見かもしれません。
でも、最愛のペットを亡くされた経験のある方の中には
『覚悟をしていても、ペットを失うことがこんなに辛いものなのか。』
と憔悴しきった様子でお話される方いるのも事実です。
そして、ご家族様の吐露する悲しみの言葉は、自身が体験した悲しみの中で最大級に悲しいという表現の様に感じるのです。
ペットを亡くされた方はどうしてそんな風に感じるのでしょうか。
ペットと人の何かが違うからでしょうか。
その理由について考えてみたいと思います。
子供と同じ守るべき存在だから
犬や猫の寿命は人と比べると短いため、悲しくも飼い主より先に天寿を全うすることを覚悟しなければいけません。
先立たれることを覚悟するという点では人の親との違いはありませんが、ペットはいわば自分の子供の様に庇護する対象であり、守るべき存在ということが言えるでしょう。
いわき市でも3.11の東日本大震災において津波で多くの方が亡くなりました。
お子さんを亡くされた方もたくさんいらしゃいます。
流されて愛するペットの遺骨を拾うことさえ叶わなかったとおっしゃっている方もいらっしゃいました。
守るべき子供や子供と同様に接していたペットを失くす悲しみの辛さは計り知れません。
言葉を交わさないから
言葉を交わさなければコミニケーションが取れない?
そんなことは全くありません。
ペットは言葉を発することこそできないけれど、言葉をしっかりと理解し、時に言葉よりわかりやすくそれを全身を使って表現してくれます。
言葉は時に相手を傷付たり、攻撃したりすることがあるけれど、言葉以外のコミニケーションはとても素直でわかりやすいのかもしれません。
時に、言葉を交わさない方が良い関係を築けるのかもしれません。
親族でもいつも口喧嘩ばかりしていて仲が悪く、亡くなって正直清々としたと話している方は実際にいますが、ペットにそんなことを言っている人は今まで見たことも聞いたこともありません。
葬儀など気を紛らわせる忙しさがない
ペットの葬儀はありますが、多くは数人の家族の間で静かに行われ、人の様に煩雑な手続きはほとんどありません。
一方で人が亡くなると、その後の葬儀準備や葬儀後の煩雑な手続きが山ほど待っています。
遺産相続ともなると他の子供たちや親戚を集めたり、気を遣いながら進めなければいけないことも多いはずです。
多忙なる蜜蜂は悲しむ暇もなし
The busy bee has no time for sorrow.
by ウィリアム・ブレイク
という名言もある様に、よく、葬儀は喪主の気持ちを紛らわすために、泣く暇も無いくらいにわざと忙しくしていると言われます。
葬儀会社がそれを故意に行なっているかどうかはわかりませんが、別のことを考えることで悲しみを紛らわす効果があるのは事実でしょう。
それだけ身近な存在だったから
『ペットが亡くなったくらいのことで大げさだな』
と、悲しみの心情に理解を示してくれない方も中にはいるかもしれません。
でもそれは違います。
毎日一緒の時間を過ごす時が濃密であれば、それだけその子の存在は大きかったはずです。
心のなかに占める割合が大きいほどごっそりと抜けた心の隙間を埋めるには多大なる時間がかかるものです。
もしあなたが、ペットを失くしたことで苦しむほどの悲しさを感じているのなら、その子はそれだけあなたにとって身近でかけがいのない存在だったという証なのです。
なぜ愛犬が亡くなるのは、親が死ぬときより悲しいのか
なぜ愛犬が亡くなるのは、親が死ぬときより悲しいのか。
その答えは、
愛犬があなたにとって誰よりも身近でかけがいのない存在だったからでしょう。
そもそも亡くなられた方に対して悲しみの程度を比べるべきではないのかもしれません。
ただ、
そう表現せずにはいられないくらいに辛く悲しいという心情を汲み取ってあげることが大切なのだと思います。
大切な時間を過ごした家族。
かけがいのない存在であれば悲しみが深くなるのは当然でしょう。
そしてそれはペットであろうと人であろうと関係はありません。
ペットロスと心の緩和
もし、あなたが、ペットロスになってしまったと感じたら、どの様に克服すればいいでしょうか。
以下の記事ではペットロスとの向き合い方や心のケアについて解説していますので、気になった方は読んでみてください。