大切に育ててこられたペットちゃんの死。
お悲しみの中、お気持ちを落ち着かせながらペットちゃんのお別れの準備をされることと思います。
旅立ちのお手伝いにお伺いさせていただいた際に、
「安らかに眠るような姿で送ってあげたいと思うものの、目が開いたままで…。」
「目が開いているから苦しんで亡くなったのかもしれない…。」
と、心配されるご家族様がいらっしゃいます。
インターネットなどでご安置の方法を調べると、「瞼を閉じてあげましょう」と表記されていることが多いのですが、実際には瞼が閉じない場合も多くあります。
ここでは、お亡くなりになったペットちゃんの目が閉じなかった場合のご安置の方法についてご説明いたします。
亡くなったペットの目がなぜ開いてしまうのか?
そもそも、亡くなったペットの瞳はなぜ開いたままになってしうことがあるのでしょうか。
原因の一つとして、息を引き取った後、頭部内の圧力が上がることで眼の神経が圧迫され、瞳が押し出されることがあるといわれています。
亡くなった直後に、上瞼をそっと手で押さえてあげたり、上瞼と下瞼を挟むように押さえ繰り返すことで閉じる場合もございますが、目が開いた状態で亡くなってしまうということは実は自然なことで死を迎えた動物であれば普通にみられることです。
また、時間経過とともに眼圧が下がることで瞼が閉じることもあります。
人の場合、お亡くなりになった後、葬儀までの間に、顔の表情を整えるために専門の人が、口が開かない様に歯茎を縫合したり、瞼を接着して整えることがあります。これはエンバーミングと呼ばれ遺体を衛生的に保管するために葬儀前に行われています。
人は家族以外の葬儀参列者の方々に最期のお顔を見せることも多く、棺の中の顔を覗き込んだ時に目や口が開いたままだと、世間体にも良くないのかもしれません。
一方でペットの場合には家族内だけで葬儀を行うことがほとんどです。
ご家族様の中にはテープなどを使って瞼を閉じてあげようとされる方もいらっしゃいますが、口や目を閉じるようなエンバーミング処理を施すことは稀です。
ペットの場合、チワワちゃんやパグちゃんなど、目の大きな犬種の子ほど瞼が開いてしまうことが多くみられますが(もちろん、猫ちゃんでもこの現象がみられることもあります)、無理に閉じようとせずにそのままの状態でお寝かせいただき、お顔にハンカチを被せてあげるのも良いでしょう。
ペットちゃんがお亡くなりになったら
お亡くなりになると、身体の筋肉が硬直し始める死後硬直が数時間のうちに起こります。(硬直しない子もいます)。
そのため、亡くなってから、そのままの状態で寝かせていると、体が伸びきった状態で固まってしまうこともあります。できるだけ硬直が始まってしまう前にお身体を自然な状態に整えてあげましょう。
この時に、目や口が開いた状態の場合は閉じてあげると良いですが、どうしても開いてしまう場合はそのままお寝かせくださって大丈夫です。
既に筋肉が硬直している場合は、無理に脚を曲げたりせず、静かに寝かせてあげましょう。一端硬直した筋肉はピークを過ぎると時間をかけて徐々に弛緩していきます。
お身体の大きさに合ったサイズの段ボール箱などを用意して、寝かせましょう。
箱の底はタオルや毛布を敷いた上に体液が漏れてきてしまう場合に備えてペットシーツや新聞紙を敷くと良いでしょう。
お身体の大きな子の場合は、サイズの合う箱が見つかりにくいこともあるかと思いますので、お身体の下にペットシーツなどを敷くだけでも良いと思います。
ご安置する場所は、できるだけ涼しい直射日光の当たらない所にしてあげましょう。
腐敗を防ぐためにも、お頭やお腹周り、脇の下に保冷材などを置いて、保冷してあげましょう。
また、保冷効果は、毛布などでお身体と保冷材を覆ってあげると高まります。
詳しいご安置の方法等についてはこちらの記事もご覧ください。
お亡くなりになったペットちゃんが目を開いているからといって、
「苦しんだのかな…。」
と、不安になられる方もいらっしゃるかもしれませんが、先に述べた通り自然なことですので安心なさってください。
仏様は目を開けていたり、うっすらと半開きのお顔をしています。
人が成仏したお顔を仏様に見立てて(半眼半口・はんがんはんく)が良いという謂れもあるようです。
目が開いたままだからといって苦しんで亡くなったのではないか、成仏できないのではないかと心配されることはございません。
安心してペットちゃんの旅立ちを見送ってあげてください。