ワンちゃんや猫ちゃんを多頭飼いされている方で、仲間の子が亡くなった際に、残された子達がその事実を理解していると感じたことはありませんか?
元気や食欲が無くなってしまったり、落ち着きなく歩き回ったり…。
ここではご家族様がお悲しみに包まれる中、残された子達は仲間の死をどのようにとらえているのかを考えてみたいと思います。
仲間を大切にする犬のきもち
野生時代に集団で暮らしていた犬は、オオカミと同じように群れで生活する動物です。群れで協力し獲物を捕まえたり、外敵から身を守ったりしていました。
群れの仲間を家族とし、仲間との調和を大切にする一面があるといわれています。
そのため、飼い主さんや一緒に暮らすほかの家族に対しても、“親愛の情”をもって接してくれることがあるようです。
その気持ちを表すかのように、悲しい時や具合が悪い時など傍にそっと寄り添ってくれたり、小さなお子さんが全体重で寄りかかったりしても怒ったり、嫌がることなくジッと受け入れられている姿を目にすることもあるかと思います。
仲間である飼い主さんの“大切な存在”だということを理解し「やさしく接して大事にしなくてはいけない」と感じているのでしょう。
「仲間の大切なものを守る」集団で行動していた犬ならではの思いやりのある行動ともいえます。
体調を崩しやすい?仲の良かったきょうだいのペット
2016年に発表された論文*では、同居犬の死後から約6ヶ月間、残された犬の行動に変化が認められたという報告もあげられています。
ペットちゃん達は、お互いにコミュニケーションを取りながら日々生活をしていますが、一緒に暮らしている仲間が亡くなったことを理解できるようです。
仲の良かったきょうだい、仲間が亡くなった時、残された子も人のようにペット(仲間)ロスになるといわれています。
では、同居していたペット達はいったいどんな行動をとるのでしょうか。
行動の変化の内容について詳しくみてみましょう。
・亡くなったきょうだいの匂いを嗅ぎ、その場からなかなか離れない
・仲間を探すように落ち着きなく室内を歩き回る
・飼い主から離れない
・急に甘えん坊になる
・何かを訴えているかのように吠えるようになる
・食欲がなくなり体調を崩す
・寝ていることが多くなりつまらなそう
仲間を失った同居ペット達は上記のような行動を見せることがあるようです。
飼い主の悲しむ姿や環境の微妙な変化をペットちゃんが繊細に感じ取って動揺している可能性も考えられますが、
その行動の数々は「仲間がいなくなった」ということを理解しているとも考えられるでしょう。
言葉を持たないペット 達ですが、常にそばにいる飼い主は一番の理解者です。同居するペットが亡くなった時、もし他のペットに体調の変化に気をかけてみてあげましょう。
*Walker JK, Waran NK, Phillips CJ. Owners’ Perceptions of Their Animal’s Behavioural Response to the Loss of an Animal Companion. Animals.2016
亡くなったその日からそばを離れない犬のお話
以前に訪問火葬にお伺いさせていただいたご家族様のワンちゃんも、とても仲良しだった同居犬ちゃんがお亡くなりになった際、ご安置されている亡骸のそばを離れず、お座りをした状態でずっと横にいたそうです。
ペットちゃんを亡くされた悲しみもさることながら、残された子のその健気な姿を見るのもまた辛く、胸が締め付けられるような思いだったそうです。
また、お兄ちゃん猫ちゃんのご火葬にご家族様と一緒にお立会いになられた弟猫ちゃんも、旅立ちのご様子を理解されているかのように、お傍で静かな声で啼き続けていました。
とくに仲良しだったわけじゃなかったのしばらくは探していたり、急に元気をなくしてしまったり…。他の多頭飼いされているご家族様からも、ほとんどの子が何らかの変化や反応があったとのお話をお聞きしています。
動物にも起こるペットロス
ペットちゃんを亡くされて悲しいのは飼い主さんだけではありません。
残されたペットちゃん達も私達が思っている以上に環境の変化や飼い主さんの心の変化など敏感に感じ取っています。
ペット達の行動を読み解いていくと、動物にも仲間を想い、喜びや悲しみを感じ取る心があり、人間が受ける感情とさほど違いはないのかもしれません。
大切な存在を失うという事はとても悲しい事です。
ご家族様にとって先立ってしまったペットちゃんを失った悲しみは計り知れないことと思いますが、
残されたペットちゃん達の心のケアにも目を向けてあげられると良いのかもしれません。