最近では単に「ペットを飼う」という意識ではなく「家族の一員」としてペットちゃんと共に暮らしているという考えの方も多くいらっしゃることと思います。
ペットちゃんとの穏やかで楽しい生活の中でもいつかは「別れ」がやってきます。
家族同様きちんと供養してあげたいと誰もが思うことでしょう。
従来では、ペットちゃんのご遺体を、庭や畑に埋めるという考えの方が多かったようですが、現代においては集合住宅の増加や衛生面の問題もあり「火葬」する考えが主流となってきています。
ご火葬後のお骨は、納骨堂や供養塔への納骨、庭への埋葬、海洋散骨などの他に、ペットちゃんのご遺骨を心の落ち着くまでは自宅に保管しておきたいというニーズも多くなってきています。
そこで、火葬はしたけれども大切なペットちゃんの遺骨をどうすればいいのだろう…。どのように保管すればいいだろう…。などという、火葬後に生じるペットの遺骨の保管方法についての疑問や不安についてお答えしたいと思います。
ペットの遺骨は自宅保管して良いの?
結論から申しますと、ペットの遺骨を自宅保管しても全く問題ありません。
心の落ち着くまで出来れば側に置いておきたいと思う方も多いのではないでしょうか。
「自宅に遺骨を長く置くと良くない」
「成仏できないのではないか」
など、ご不安になることもあるかと思いますが、
大切なのはご家族様がその子のためにどのように供養してあげたいかという気持ちです。
仏教においても、火葬後のご遺骨の扱い方に決まりはありません。
人の場合、ご家族の集まる四十九日の法要を目安にお墓に納骨される場合が多いようですが、近年では「手元供養」といって、ご自宅にずっとご遺骨を置いておく方もいらっしゃいます。
現代では、マンション暮らしや住宅事情も様々なケースがあり、それぞれの想いや状況にあった供養の方法を取られている方もたくさんいらっしゃいます。
お部屋の一角にお写真やお供えと共にご遺骨を置いて、毎日手を合わせることは決して悪い事ではありません。
もし、将来的に納骨や埋葬を考えている場合には、四十九日、月命日、百日忌、一周忌、三周忌、または家族の集まれる日などを目安にされるといいかと思います。
また、数年後にお引越しをされたり、ご家族様のご状況も年々変わることもあるかと思いますので、その折々をきっかけに供養の仕方を変えられる方もいらっしゃいます。
ペットの骨壷はどこに保管するべき?
ご火葬後のペットちゃんのご遺骨をご自宅で保管される方の理由としては、下記のような理由が多くあげられます。
・気持ちが落ち着くまで置いておきたく、手放したくない。
・埋葬する庭がない。
・将来引越しをする可能性があるため、特定の場所に納骨や埋葬をすると後々が心配。
それぞれのご事情や理由でペットちゃんのご遺骨を自宅保管される場合、保管場所としてペット用の仏壇や供養棚を用意される方もいらっしゃいますが、ご家族が集まるリビングや、ペットちゃんがいつも過ごされていたお部屋に置かれ、思い出を偲んであげられる場合も多いです。
保管場所に特に決まりはないので、ご家族ごとの判断でご遺骨を大切に安置されることが大事です。
人用の仏壇にペットの骨壷を置いても良いの?
お仏壇は「仏さまがいらっしゃる壇」という意味ですから、お仏壇は仏さまの慈悲に包まれている場所です。
人も、人以外の生命も慈しみ尊重するという仏教の教えを鑑みると、ペットの遺骨を人の仏壇に置くことも問題ないのではないでしょうか。
「故人が大の動物好きで、今回亡くなったペットちゃんのこともとても大切に思っていた。」などという場合ですと、率先して同じお仏壇にお骨を保管するご家族様もいらっしゃいます。
ただ、これまでの慣習や考え方などで、人と動物を一緒にしてしまうのは抵抗があるという場合には、ペット用の仏壇を別にご用意されたり、仏壇の脇や前に小さな台を用意し、その上に置かれるなどしてご供養されるのも方法かと思います。
ペットの骨壷を保管する方角は?
気になさる方もいらっしゃいますが、方角にも決まりはございませんので、ご家族の目の届く、ご供養できる所であれば全く問題ありません。
人の仏壇と一緒に保管する場合は、宗派によって仏壇自体の置く方角や場所に決まりがある場合もございますので、それに準ずると良いでしょう。
骨壷にカビ!?気になる湿気対策と自宅での保管方法
骨壷を長期間ご自宅で保管される場合、注意すべきことがあります。
特に陶器の骨壷は、陶器と蓋の間から空気中の水分が中に入り、内部に湿気がたまることがございます。
また、温度差のある場所なども同じように骨壷の中に水分がたまってしまいます。
埋葬のために蓋を開けてみると大切なご遺骨に、カビが生えていたということもあるようです。
火葬しお骨にしたのにカビが生えるの?と思う方もいらっしゃると思いますが、骨壷の隙間から入ってくる空気中のカビの胞子や湿気、火葬後に残った微量なタンパクなどがカビの発生の原因となる場合があります。
実践!自宅でできるペットの骨壷の湿気対策
骨壷を長期間ご自宅にて保管される場合は、以下のような対策を行うと良いでしょう。
・吸湿剤(シリカゲル等)を中に入れておく
(湿気は底にたまりやすいようです。出来れば底に、無理であればお骨の脇や蓋の裏にテープで貼っておくのもいいようです)
また、意外とやってしまうのがご遺骨を素手で触れてしまうこと。手の脂やタンパクがカビ発生の原因となるので以上の対策を行う際、お骨に触れるような時には新しいゴム手袋を付けるか、箸を使いましょう。
・骨壷の蓋の周りをテープで密閉する
湿気が入り込む陶器と蓋の境目にテープをグルッと一周貼って湿気の侵入を防ぐといいでしょう。
テープは、マスキングテープや養生テープなど、綺麗に剥がれるテープをお勧めしています。ガムテープは湿気対策のためのシリカゲル交換の際に、綺麗に剥がれずお骨壷が汚れてしまいます。
・高温多湿を避け安置する
私がこれまで拝見してきたお骨の保管方法で最も厳重だった方法は、お骨壷自体を透明な密閉性の高い容器(衣装ケースのような箱)に納め、その中には吸湿剤を置き、湿度計を入れて環境を整えている方もいらっしゃいました。
日頃から湿度が高めと言われている一部の地域や住環境の場合や、梅雨の時期は、しっかりと湿気対策をされた方がよろしいかと思いますが、吸湿剤・テープ・適切な場所への保管で、十分に湿気対策は可能かと思います。
また、弊社ではご火葬後にすぐに、骨つぼを簡単に完全密閉して湿気やカビから守る”つぼピタ”(¥1,000)をご用意しております。
つぼピタは、つぼピタテープ、抗菌防カビシート、除湿剤のセット内容で
ご火葬後すぐに密閉でき、抗菌防カビシートを底部に敷くことで底部に溜まりやすい湿気からご遺骨を守ります。
また、伸縮性のあるつぼピタテープは密閉後の見た目がすっきりしており、剥がした痕も全く残りません。
木製?陶器製?骨壷はどっちがいい?骨壷別の保管方法
木製の骨壷は陶器の骨壷に比べ、骨壷自体にある程度の吸水性があるため骨壷内部の湿気を吸湿します。そのため、乾燥剤やテープでの処置を行わなくても内部の湿度環境をある程度低く抑えることが可能です。ただ、完全な密閉ではないため長期間の保管には向きません。木で作られているので「いつか自然に還す」というつもりで埋葬をお考えの方には良いかと思います。
陶器の骨壷は先に述べたような湿気対策を適切に対応すれば長期保管が可能です。
ただし陶器は、転倒や落下等の強い衝撃があると割れてしまうこともあります。猫ちゃんなどがお住いのご自宅では棚に置いていても倒されてしまうこともあるかと思いますので、転倒対策をしっかりして保管してあげましょう。
ご遺骨の湿気対策は重要です。正しい方法で大切な遺骨を保管しましょう。
もしも骨壷にカビが発生してしまったらどうしたらいいか?
まず、前提としてご遺骨は一度高温で加熱されていますので、カビが好む高温多湿の環境等に骨壷が長期間置かれていなければ、カビが発生しておらず、綺麗な状態で保管されているということも十分に有ります。
蓋を開けた際に、大切なペットの骨に色が付いていたからカビだ!と早合点せずに、まずはよく観察してみてください。
もし、わからない場合は、遺骨のプロに相談するのもいいかもしれません。
遺骨のパウダーを専門で行なっているカノンでは、もし、遺骨にカビが生えてしまっている場合でも、しっかりと殺菌を行なってくれます。
粉骨にして保管をしっかりすることで、半永久的に遺骨を状態良く保管しておくことが可能になります。また、無料にて実際の粉骨に立ち会うこともできるので安心です。
骨は必ずしも「真っ白」ではありません。
茶褐色に近いオレンジのふわふわした物や、薄いグリーンのような色があります。これらはカビではなく、脂肪が燃焼して黄色く残ったり、体内にあったミネラル成分が熱と反応して残った物の一部などである可能性です。
これをカビだと思ってしまう場合もあるようです。
また、カビには色々な種類があるため、一概カビを判断することは難しいのですが、
目視でカビが発生しやすい環境になっているか判断することは可能です。
ポイントとしては、湿気が溜まりやすい骨壷の底を覗いて見るのが良いでしょう。
湿気が骨壷の下に溜まっていると、湿気で細いご遺骨や灰がくっ付いて溜まっている場合があります。
骨壷の底部が変色して染みのように広がっていたりする場合はカビの可能性が高いと言えるでしょう。
残念ながらカビであった場合、ご家庭でできることは遺骨を骨壷から取り出して広げ、日当たりのよい室内で天日干しすることです。
また、ご家庭では難しいですが、ご遺骨を再度高温で火葬することでカビを除去できる場合もあります。ペット火葬業者によっては対応してくれる場合もあるかもしれませんので、どうしても気になる場合は一度問い合わせしてみるのも良いでしょう。
直接遺骨に触れる際には手の脂やタンパクが栄養となりカビの原因となってしまうので手袋をつけましょう。
ペットの骨を粉骨をするという新しい保管方法も
ご遺骨を手元供養され、長期保管していく中で、気持ちが落ち着いたから埋葬や散骨をお考えだったり、小さな骨壷への移し替えを検討されたりする場合、お骨を粉末化(パウダー加工)し長期保管、散骨等される方法があります。
粉骨にするメリット
お骨を粉末状に砕骨しますとその容積は半分以下になります(重さは変わりません)。
そのため大きな骨壷ではなく、コンパクトに保管が出来ます。
粉末状のため、埋葬や散骨しても形あるお骨よりも早く自然に還ります。
また、粉末状のお骨を真空パックにし保存することでカビを防ぎ、より効果的に長期保管ができます。
まとめ
ペットの死は時として家族の死と同じくらい悲しいものです。家族の一員としてきちんと供養してあげたいと思うものです。
ペットの供養に決まった形はありません。もちろんご家族のご信仰に基づき、人と同じように四十九日などの節目に納骨や埋葬をされるご家庭もありますが、
「気持ちの落ち着くまでは」「引っ越す可能性があるから」
など様々な理由でご遺骨を自宅に置くという選択をされる方もたくさんいらっしゃいます。
ご火葬後のご遺骨の取り扱いはとても大切なことです。後悔のないように皆で決めることがとても大切なのです。
ご家族が喜ぶことが何より嬉しかったペットちゃんにとっても、ご家族皆で考えて決めてくださったご供養がきっと一番だと思います。