「うちは田舎なので、家族は『裏の山に土葬すれば』と言うのですが、私は埋める気にはなれなくて・・・
でも、ちゃんと火葬してあげた方がいいですよね? 皆さんどうされているのでしょうか。」
というご相談を時々頂きます。
今から十数年前までは、「犬や猫は外で飼う」「亡くなったら庭や裏の山に埋める」という方がほとんどだったのではないでしょうか。
時は流れ、ここ数十年で人々の住環境が変わり、マンションなどの集合住宅が増えました。
家族構成も変化するなかで、室内飼いのペットも多くなり、人とペットとの物理的な距離だけではなく、心の距離も近づいていると感じています。
また、ペットと人との接し方の変化し、密になって行くに伴い、ペットの弔い方も変化しつつあります。
本記事では、以前はペットを土葬していたけど、埋めるのは忍びなくてというお悩みへの回答や、土葬を一度したけれど、やっぱり火葬を決断されたという方についてのついてのお話をご紹介します。
土葬できる土地があっても火葬をするという現代
住宅街やマンション・アパートなどの集合住宅にお住いの方は、お庭が無いという理由や衛生的な面から、亡くなったペットちゃんを火葬されるという方がほとんどです。
一方で、広大な敷地をお持ちのご家族様でも、最近では土葬ではなく火葬をするというご家族様が増えています。
訪問ペット火葬をご利用いただく方で
「数年前までは裏の畑や山、庭に亡くなったペットは埋めていたのだけれど、今回見送った子は火葬をしてあげることにしました。」
とおっしゃる方が少なくありません。
どのような理由で土葬ではなく火葬をしようと思ったのでしょうか。
勝手に土葬は許されない時代に
昔であれば、近くの公園や山林などにペットを埋めるということをしていた方も多かったでしょう。
私自身も、何十年も前に、子供の頃に親と一緒に近くの公園の花壇に亡くなったハムスターを埋葬して、アイスの棒に名前を書いて墓標を建ててあげた記憶があります。
ただ、今思えば公園で楽しむ他の利用者のことを考えるとあまり好ましいことではなかったのかなと思うようになりました。
また、花壇であろうと、小さな子供達にとっては遊び場であり、花壇の土も踏まれているだろうことを考えると、なんだか埋葬した子にも申し訳ない気持ちになったりもします。
情報はSNSであっという間に拡散される時代です。
公共の場所にペットを埋めていることが問題になって…ということを考えると、やっぱり公園などに埋葬はやめた方がいいよと思う人が増えてきているように感じます。
当然のことではあるのですが、土葬する場所は自分の所有する私有地に行うしかないという時代になってきています。
埋葬した遺体を野生動物に掘り起こされてしまっていた
また、田舎では少し事情が変わって、自分の所有する裏山などに土葬する場合でも問題が起きるということがあります。
それは、土葬したペットの遺体が野生動物に掘り返されてしまうという問題です。
山からおりてきた野生動物に、畑の作物を荒らされたり、敷地に侵入されたりという報道がなされていますが、埋葬したペットを掘り起こされるということも実はよくあるのだそうです。
山を開拓され周辺の住宅地が増えると、餌場や住処を失った野生動物が人里におりてきて、土を掘り返して餌を探します。
弔うために埋葬したペットを掘り起こされて餌にされてしまっては、ご家族の悲しみやショックも大きいことと思います。
埋葬をするのに十分な場所があっても、山や畑、庭に埋めるなら、火葬をしてからお骨を埋めるという選択に変えられている方も多いようです。
自ら「埋める」ということへの心理的な抵抗
「ペットは家族」として育ててきて、一緒に暮らしてきたからこそ、亡くなった時の悲しみは大きいものです。
亡くなったときに、自ら土に穴を掘って身体を納め、土をかけて埋めるということが、どうしても心理的に抵抗があるということから、ご火葬をご依頼くださる方も多くいらっしゃいます。
また、亡骸をそのまま埋めてしまうことで
「寒い思いをしているのではないか。」
「ひょっこりと掘り返して元気な姿を見せてくれるのではないか。」
と、旅立ちを受け入れられないご心境になってしまうことを懸念されて、ちゃんと火葬をして弔うというご選択をなさるご家族が増えていると感じています。
一度は土に埋めたものの、やっぱり掘り返して土を綺麗に払い火葬をご依頼されるという方も少なからずいらっしゃいます。
土葬か火葬かについて悩んだら
もし、土葬するか火葬するかについて悩んでいる方は、その後の供養の仕方をどうするかについても考えてみましょう。
土葬する場合は、遺骨を手元に残しておくことはできません。
また、転勤や引越しなどでお参りすることが難しくなるなど、埋める場所についてはその後の供養の事まで考えて検討する必要があります。
生きた証として遺骨をとっておきたいという場合や、将来その土地に自分が住んでいない可能性のある方は火葬して遺骨を手元で供養するという方法をとられた方が良いかもしれません。
火葬してお骨にしてあげた方が気持ちとしても諦めがつくとおっしゃる方もいます。
また土葬する場合、土壌の環境に依存しますが、ご遺体が土に還るには年単位の時間がかかります。
以前に一度埋葬したけれど、やっぱり掘り返して火葬したいということで、インコちゃんのご火葬にお伺いしたことがありました。
半年以上前にプランターに埋葬された子だったそうなのですが、お身体は土に還っていない全くそのままの状態で残っていることもありました。
掘り返したご家族様も大変驚いていましたが、火葬をしてお骨を骨壺に納めると、心の中でずっと心配していたモヤモヤが晴れ安堵した様子でした。
火葬後の遺骨はどうすればいいの?
ご火葬した場合、ご遺骨の供養の仕方についてはお気持ちが落ち着かれてからご家族様でお話合いをされて、お決めになる方が多いです。
例えば、下記のようなご供養の仕方があります。
・自宅に祭壇を作り安置する「手元供養」
・ペット霊園や、寺院の動物供養塔に納める
・ご家族様のお墓に一緒に納める
・海洋散骨や思い出の場所に遺骨を埋葬する 等々・・・
手元供養は、これからお引越しの予定がある方や、手元でご供養された方が安心という理由により、現代において多く選ばれているご供養の方法です。
また、動物供養塔が設けられている寺院もありますので、お近くのお寺に聞いてみるのも良いでしょう。ただし、檀家さんでなければ利用できない場合もあったり、予想以上に費用がかかるなどという事もありますので、事前の相談が必要です。
ご先祖(人)のお墓に一緒にペットのお骨を納められる場合もあります。これに関しては、宗派やご住職の意向によって様々ですので、許可されない場合もありますので、こちらも事前に相談が必要となるでしょう。
また、お骨を粉末(パウダー)にして、海に撒かれる「海洋散骨」という方法もあります。
思い出の場所やお庭に埋葬される方もいらっしゃいます。
ペットちゃんのお骨の供養の仕方については、定められた決まりはありませんので、ご家族様がどのように供養をしていきたいかのお気持ちを大切にされてください。
大切に育ててきた家族であるペットの供養。
敷地に埋葬すればお金もかからず弔うことができますが、火葬を依頼すればそのぶん費用がかかります。
良いお別れができることは、ご家族様が今後も前向きに暮らしていくための第一歩となります。
どのように供養をされるか、ご家族様でよく話し合われて、見送る方のお気持ちを大切に後悔のないよう、最良のご選択をなさってください。