ご拾骨の際、ペットちゃんのご家族様より、
「ペットにも喉仏はあるんですか?」
と、聞かれることがあります。
人のご火葬の場合も“喉仏”はその特徴的な形から、とても大切にされ分骨して納骨するなど、特別に扱われることがあり、火葬場の説明でも喉仏について従業員の方が説明することもあります。
でも実際、喉仏はどこの、どんな部位なのかについて、本当のことを知っている人は意外に少ないようです。
ここでは“ペットの喉仏”について、詳しく説明していきたいと思います。
喉仏ってそもそもどこのこと?
喉仏(のどぼとけ)とは男性のノドの中ほどにある突起部位を指し、モノを飲み込む際に一緒に動く部分です。
また、犬や猫などのペットにおいては、喉の部分が毛に覆われているせいもあり、喉仏を探せないことが多いです。
正式には「喉頭隆起」と呼びますが、この隆起は実際、軟骨であり、火葬の際には焼けて灰になってしまい残ることはありません。
では、実際の喉仏は焼けてしまうはずなのに、火葬場で説明されている喉仏とは一体何なのでしょう。
ホントは喉仏じゃない?火葬場で説明される喉仏
それではご拾骨の際に拾う喉仏とは何なのでしょうか。
火葬場で説明される喉仏は
軸椎(第2頸椎)という、首の骨(頸椎)の上から数えて2番目のお骨の部分を指しています。
尖った小さな突起と扁平な突起があり、特徴的な形をしています。
なぜ軸椎は喉仏と呼ばれる様になったの?
なぜ、この軸椎と言われる首の骨がお骨を拾う際の喉仏と呼ばれるようになったのでしょうか。
まず、一つ目に、解剖学上、喉頭隆起と軸椎は非常に近い位置にあります。
人の正面から見て、喉頭隆起のほぼ裏側に軸椎がありますので、近い部分の遺骨を指して喉仏と呼んだのかもしれません。
また二つ目は、軸椎(第2頸椎)の形が”仏様”に似ていることから喉仏と呼ばれるようになった可能性です。
軸椎の形をよく見ると座禅をし、合掌する仏様・お釈迦様に似て見えると言われています。軸椎の小さな突起を上にしたとき、これを仏様の頭、扁平の隆起部分は法衣を召したお釈迦様が手を合わせているように見えるそうです。
誰が、説明し始めたのかは分かりませんが、火葬場における神妙な雰囲気の中で、ありがたい仏様はご遺族の体の中にいらっしゃいますよ。というお話は皆の印象に残り、それがやがて広まっていったのかもしれません。
犬や猫の喉仏に相当するのは軸椎(第二頸椎)
ペットにおいては、先述の通り、喉の部分が毛に覆われているせいもあり、喉仏(喉頭隆起)を意識することが少ないかもしれません。
ただ、ペットも人と同じように、実際の喉のある場所の裏に位置するお骨である軸椎(第二頸椎)を「喉仏」と説明する場合が多くあります。
人の軸椎と特徴は似ていますが、人よりも全体的に細長く、平らな突起がよく目立ちます。
ワンちゃん、猫ちゃんはもちろんのこと、フェレットちゃんぐらいの大きさのペットちゃんまでなら喉仏をはっきりと見つけることができます。
喉仏が残っていない?喉仏が残っていると生前幸せだったと聞くのですが…
ペットちゃんの年齢やお身体の状態、火葬環境などで喉仏が崩れていたり、ほとんど残らないことがあります。
でも、残らなかったからといって、全く気にされることはありません。
“仏様のところに行けないんじゃないか…。”
”幸せじゃなかったのか…。”
など、喉仏が残らなかったり崩れてしまっていたりした場合に心配される方もいらっしゃいますが、
喉仏の存在はその子の幸せを量るものではありません。
喉仏は、生前の行いや旅立った後の行く末を結びつける吉凶の占いの道具ではなく、生きてきた証であるご遺骨の一部です。たとえ形がキレイに残いなかったとしても
「一生懸命、頑張って生きたんだね。」というお気持ちでご供養されるといいのではないでしょうか。